【第01回】紅梅読みます企画の総括

紅梅

謝辞

令和5年10月28日〜令和5年10月31日にかけて「【第01回】名興文庫-紅梅の読みます企画」を開催しました。
多くの方に注目していただき、とても嬉しく思っております。
ご参加くださった皆様、拡散にご協力してくださった皆様、ありがとうございます!

企画詳細

「【第01回】名興文庫-紅梅の読みます企画」の詳細は以下になります。
*企画告知のページはこちら

【求める作品】
「3万字以内で完結している小説」
【条件】
・総文字数3万字以内で完結済み
・文芸作品であること
・Web小説投稿サイトで公開中であること
・シリーズものは不可
・応募は1人1作品まで
・作品の感想の公開に同意できること

総括

 まず初めに、「【第01回】名興文庫-紅梅の読みます」企画にご参加くださった皆様、拡散にご協力くださった皆様、誠にありがとうございます! 急な開催だったにもかかわらず多数応募があり、とても嬉しく思っております。

 選評企画では題材やキーワードに沿った作品を読ませていただいています。準備期間を最低でも1ヶ月設けていますが、それでも参加ハードルは高めです。参加したくても、じっくりと作品に向き合う時間が取れなかったり、企画終了後に閃いたり、文字数がオーバーしてしまったり……といった方が多数いらっしゃるのではないかと思いまして、この度は読みます企画を開催しました。

 また同時に、Web小説投稿サイトに掲載されている純文学や一般文芸作品と出会いたい、という思いもありました。Web小説投稿サイトでは、どうしてもファンタジーやライトノベルの方が人気があります。そのため「頑張って執筆したし、自分なりに最高の出来。でも、読まれない」という悲しい思いをされている方もいらっしゃるのではないか……そんな心配が常にあります。紅梅レーベルの読みます企画を通じて、その悲しみを少しでも和らげることができたらと願っています。

 こういった考えがベースにある読みます企画ですので、選評企画に比べて条件を緩くしています。今回は多様な作品を読むことができ、とても楽しい時間を過ごせました。ご応募くださった皆様、誠にありがとうございます。

 読みます企画は今回のように、次回も急な開催を予定しています。条件となる総文字数は多少変動するかもしれません。ご期待くださいませ。

 皆様のご参加を心よりお待ちしております。

読了後の感想

ご応募いただいた作品の内、条件に合致する作品を読ませていただきました。
下記に感想を記載します。
尚、紹介の順番は作品タイトルの五十音順となっております。
敬称略とさせていただきます。

『シャドウ・ワーク【世にもになるまで書いてみた】』|あじふらい【奇妙な世界を目指して482日目・現在68作目執筆中】

天宮さくら
天宮さくら

 脚本形式の物語。やはり、某番組を目指して執筆されたのでしょうか? 読みながら、あの不穏なテーマソングと共に黒いサングラスの男性がチラチラと脳裏をよぎりました。怖いの苦手です(涙)

 本作は怖いだけの物語ではなくて、安心しました! 教職員のブラック労働は随分と前から問題視されていますので、もしかすれば採用されるのではないか、と期待しています。ファイトです!

『女郎蜘蛛』|千里 望

天宮さくら
天宮さくら

 とある女性の独白は、女郎蜘蛛のよう。彼女の受け答えに先生が戸惑う姿が目に浮かぶようです。彼女の根底にあるドロドロとした感情の全貌を知りたくなりました。

 一度読んでもう一度読むと、背景がクリアになる面白い物語でした。できることならば、もっと濃密なバージョンを読んでみたいです。

『太陽』|みちづきシモン

天宮さくら
天宮さくら

 太陽について、みちづきシモンさんの思いを綴ったエッセイ。語り口が柔らかで、緩やかに光へ誘われるような読み心地でした。

 確かに、私たちの文化には月に関する言葉は多いですよね。でも同時に、太陽への憧れもある。現在は暑さの原因として嫌われているかもですが、それでも、太陽の輝きがなければ生命は育まれない。どうか多くの方の心に光を届けられますように。

『月、燃ゆ』|津多 時ロウ

天宮さくら
天宮さくら

 たゆたうように生きてきた主人公と、強い光を放つような男性。二人の出会いの物語。憬さんとの時間は冷え切っていた彼女の心を溶かし、感情を発露させ──その発露が、激しくて。どうなってしまうのかとハラハラし、最後、ほっとしました。月から目を逸すような生き方をしていなくて、本当によかった。

 色もですが、音が大事な要素になっているように感じました。タンタンタン。シャッシャッシャ。トットットットット。耳元で鳴っているような気がして、心地良かったです。

『人形奇譚』|長門路橋

天宮さくら
天宮さくら

 桜の花びらが舞い散る頃、息遣いが聞こえそうな一体の人形が寺に置かれていた──何故、寺にこのようなものがあるのだろうか?

 旅行者の疑問に応えた僧侶の話は、心の暗部を覗き込むかのよう。ゆるゆると流れる時間の中で語られた狂気が、読んでいて恐ろしくもあり、悲しくもありました。私もこの目で桜子を愛で、囚われてみたい。とても魅力的な作品でした。

『Red requiem』|真名鶴

天宮さくら
天宮さくら

 規則正しい四角の並びと、規則正しくない美しい数列。欠けたことによる美。白と黒の世界に足されたのは、赤。おかしいのは、私なのか。

 読んでいて無意識にぐぐっと呼吸を止めてしまう緊迫感。この息苦しさが孤独で悲しくて、泣きたくなりました。当たり前とは何なのでしょうか。生きるとは、こんなにも苦しい。諦観を抱きながらも他者の理解を求めてしまう感情を、赤裸々に描いた迫力ある作品でした。すごく好きです。

今後の予定

企画は今後も行う予定です。
その際はX(旧Twitter)を通じて募集します。
よろしければ、名興文庫公式アカウントをフォローいただけると助かります。

今後とも応援の程、何卒よろしくお願い致します。