『階段都市クルケアン』の刊行について

漆黒

 遂にこの日が来ました! 名興文庫、漆黒レーベルからの初の刊行となりますが、その記念すべきタイトルは、夏頼先生の『階段都市クルケアン』です!

 この作品は漆黒レーベルが前面に出したいファンタジーの特徴をいくつも良い形で表現されています。作者がきちんと細部まで設定・構築した、空気感まで伝わって来る独自性のある作中世界と、そんな独特な空気感の中で展開する、群像劇と言っても良いほどの各人物たちの関わり合いや活躍、苦悩や葛藤、そして愛といった、それぞれの思惑がタイトルでもある階段都市の秘密に迫るにつれて徐々に最高潮に近づいていき、やがて物語は多くの伝統的なファンタジーがそうであるように、『人々の物語』の終幕と共に『一つの時代の終わり』を迎えていきます。

 これは昨今のライトノベルやweb小説にあるような仕掛け無しで純粋にファンタジーの『世界観とキャラクターとストーリー』で勝負している作品であることを意味しています。このようなファンタジーはだからこそ書くのが非常に難しい部分がありますが、この物語はなんと資料込みとはいえ130万字越えの大作であり、これが見事に完結しています。この作品で読者の皆さんが楽しみつつ何かを感じ取っていただければと思いますし、『階段都市クルケアン』はそんな良い読書体験の出来る素晴らしい作品です。ぜひ、手に取って楽しんでみてください!

 また、今後漆黒レーベルは時代性に左右されない作品を送り出していきますので、基本的に大作を打ち切り無しで刊行し、長く宣伝し続ける姿勢でいきます。今後、長くお付き合いいただけたら幸いです。

 では、良い読書体験を!『階段都市クルケアン』存分にお楽しみください!