第二回、理想的な投稿サイトについて考えてみる

コラム

 さて、一番最初に語るべきはこの話題でしょうか。現行の小説投稿サイトは実質『ラノベ投稿SNS』とでも言うべきものであって、それならそうとアナウンスしてくれと言いたくなる状態がずっと続いていますが、小さな変更は続いていても大幅には変わっておりません。また、新興の小説投稿サイトも変わらずに出てきますが、やはりなかなかに伸び悩むようです。これは創作者側の姿勢や傾向にも原因はありますが、それを言っても仕方がありませんね。

 では、どうしたら『決定的な小説投稿サイト』を構築できるでしょうか?

 理論だけならとてもシンプルです。『図書館や書店に近い投稿サイト』を目指すのです。現在の『小説投稿サイト』は、『書店や図書館だと思って行ってみたらほぼラノベしか無かった』みたいな状態になっています。この状態は界隈に熱気があるうちは良いですが、そうでなくなればただ単に閉鎖的で関わりづらいものでしかありません。

 ライトノベルを取り巻く環境は電子化によるロングテールとコミカライズによって規模こそ大きくなっても、紙書籍の減少はきわめて顕著なものです。実際に、おそらく私がこのコラムを書いている今この瞬間にも、小規模な新興ラノベレーベルを電子書籍で起こした人たちはあまりの売れなさに衝撃を受けているかもしれません。新規参入が減り続けている分野においては、既存の大きなインフラの影響下にある作品が強いのは当たり前のことです。ただしそれは数字の漸減とセットでありましょう。よくある言い方をすれば旧態で現状維持なのですから。

 というわけで有効なのは、『ネットの海に書店や図書館に等しい投稿サイトを構築する』事でしょう。幾つかの要素を列挙してみますか。

・小学生から高齢者まで利用できるモデルを念頭に置き、
・総合ランキングはなし
・ジャンルや要素の検索はほぼタグのみによる管理
・ランキングに関してはあったとしても『書籍化希望作品』のみにしてこれは隔離
・各話ごとの投げ銭や買い切りも可能
・作品評価は満足度の指数のみで表示し、帯域で大まかに分類する
・作品評価の指数構築は多角的(例えば文字数による区別なども考慮に入れる)にする
・ライトノベル、なろう系web小説はそれぞれ大ジャンルとして分け、さらにタグをつける

 などでしょうか。この上でAIによって読者ごとのおススメが細かく変わる、パーソナライズドピックアップを実装したり、企画によるピックアップを色々と変更できれば理想でしょう。

 また、何より大切なのは良き読者、良きレビュアー、良き批評者の存在でしょう。例えば『小説家になろう』にはスコッパーさんが数多く活動されております。しかし、スコッパーさんたちに対して一部のなろう作家たちは否定的です。ランキングの攻略がしがたい状態になされてしまう事を嫌っているのでしょう。サイトの性質上、確かに議論が分かれてしまうのは分かりますが、そこにそもそものサイトの偏向性が存在している証左でもあります。

 理想的なサイトには、視野が広く良きレビューや批評を書けるユーザーと、それらが拡散できて何らかの利益になる仕組みが必要と思います。よって、

・たくさん読んでリアクションを取った人にも利益が出るような仕組みも実装する

 このような各要素を盛り込んだ小説投稿サイトを構築し、数年程度の時間をかけてでも一般層に認識されていくようなサイトの運営が何より大事であろうと思います。